Disce libens

研究にあまり関係しない雑記

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ベッケンフェルデ "倫理的国家としての国家" つづき

以下の記事の続きです。正直いうと彼の議論の妙味を適切に表現できた自信がありませんが、今回は特に迅速さを優先します。 kannektion.hatenablog.com III-2 b) 物質的自由と自己実現 外的自由と安全の次元と平行して、倫理的、知的自由や自己実現の領域が自…

Kinch Hoekstra, "Hobbes`s Thucydides"(2016)とかのまとめ

表題の論考の紹介になります。これは某カタバシスなんかで紹介されているので蛇足感もありますが、自分なりに読んで理解することも大切なのでいいとします。そのうちトゥキディデスのハンドブックにのってるほうの論考も紹介します。当該論考は思想史研究で…

ベッケンフェルデ "倫理的国家としての国家"

ベッケンフェルデ(1930-2019)が亡くなってしまった。ちょうど古代、中世の法・政治思想についての著作(Geschichte Der Rechts- Und Staatsphilosophie: Antike Und Mittelalter)を読み返していたので衝撃が大きい。彼の研究は今の自分が学んでいる方向性を決…

マルカムとタックのホッブズ研究

Malcolm2002[1]の刊行時点では、彼自身が指摘するように[2]ホッブズの国際関係理論に関する研究は、ホッブズ研究者自身によるものは非常に薄く、国際政治学者が自身の議論を補強するために例示したホッブズ理解が多少影響力を有していた。それは、リヴァイア…

古代ローマにおける宗教 2

前回の続きです Schiavoneの6、 Rituals and Prescription の紹介です 後期共和制においては、古い神官の持っている知恵とはまず第一に慣習mosの擁護者としての役割を担う者とされていた。それは先祖代々続く宗教的社会的慣習を体現していた。 注1 初期のロ…

初期ローマにおける宗教

スキアボーネの The Invention of Law in the West (Ius. L'invenzione del diritto in Occidenteの英訳)の第5章の紹介です(ちなみにスペイン語訳のほうが先に出ている)。全体の半分くらいは読みましたが、その中でも特に未知の事項がおおく、理解しづらかっ…