Disce libens

研究にあまり関係しない雑記

Pocock, Barbarism and Religion: Volume 6, Barbarism: Triumph in the West(2016) 15 Ambrose of Milan p.293-308

Pocock BR6 15章 Ambrose of Milan 半ば趣味の営みだが、ビトリアの教会論と聖職者の世俗の権限を巡る議論を読むのにも示唆的であった。ただ、BRの中でもギボン自身の評価とポーコックのコメントが入り組んだ箇所なので筋を綺麗に追跡するのに苦労する箇所で…

Maurizio Viroli, From Politics to Reason of State: The Acquisition and Transformation of the Language of Politics: 1200–1600(1992) p.1-15 内容紹介

とてもキリが悪いところで終わっています。p. 30が一つの切れ目なのでここがちょうど半分くらい。残り半分を近日のうちに載せます。 追記 残り半分を当日中に全部訳しましたが、間違って削除して意気消沈してるので15-30はもう載せません。ごめんなさい 注意…

Benjamin Straumann (2016) Crisis and Constitutionalism(危機における政体論)intro pp. 1-21 紹介

constitutionは、政体 constitutionalは、政体論的という訳語を機軸とします。constitutionalに端的に肯定的な意味が着せられているような場合は少し技巧的に訳しています(よく秩序づけられた政体など)。 pocockをBR参照せずにMMだけで古典的共和主義者に括…

Dante de vulgari eloquentia がつらい(1)(多分続かない)

以下に訳出したのはダンテのDe Vulgari Eloquentiaの冒頭である。この本は第一書、第二書に分かれている。言語論、レトリック論には個人的興味が強いので意気込んでいたが、途中でタキトゥスのコメンタリやローブ版のクィンティリアヌスを購入したせいで目移…

スコトゥスについてざっくりと (2)(中断)

中途半端なのですが、今回でいったん中断します。スコトゥスの実際の議論の理解をもう少ししたいという気持ちが生まれたためです。 スコトゥスの価格理論とビトリアの関係についてきちんとテクスト自体と研究動向を追ってみることにします。なにかわかってき…

スコトゥスについてざっくりと (1)

せっかく自由に投稿できるのだから気楽に文字を投げていこうと思う。前回から一週間経ってないが更新をする。 Flaschの中世哲学史の紹介という形でドゥンス・スコトゥスについて何度かに分けて確認していく。そうは言っても息抜きでやっているので、次回の更…

ビトリアと自然法論 少し前の動向

ティアニーの1997年の研究[1]に従い、自然法関連でのビトリアの扱いにつき非常に簡潔に先行研究の関係を確認しておく。彼はその紹介の後自身の分析を展開するが、それは別のエントリにて紹介するか、今書いている論文に入れ込むかするつもりである。2010…

Barbarism and Religion Vol.3 Intro 訳出

pcのデータがおかしくなって復元していたらいろいろ古い記録が出てきました。 4年まえのものでいろいろと抜かりがあるとは思いますが、供養がてら放流いたします。いちおう最低限の手直しを加えました。また他のものを流すかもしれません。 Introduction こ…

A. momigliano "Ecclesiastical Historiography"1節の訳出

3節あるうちの一節を訳します。 見直ししてないのでミスがあるかもです。 教会史と花火に関連があるということは、一見するとよくわからないことであろう。けれども今回扱う事例では、花火が教会史研究を明確に促進させる題材となるのである。 ベネデット・…

Pocock, Barbarism and Religion 3巻4章のまとめ

BR3-4 Ⅰ ギボン→アントニヌス帝政の崩壊という問題を扱う。 その前史としてのタキトゥスは元首制の不安定を叙述、元老院を無視した軍隊に左右される制度として描く。 一方、グラックス流の解釈では、内戦は軍隊維持能力の欠如によるものとされた。 → 前二者…

立作太郎と有賀長雄 -共鳴と相剋

※論文からの引用は現代仮名遣いに修正していることもある。旧字体も新字体に直し、国名の当て字は基本カタカナに直している。 ※引用の後の括弧の中の数字はそのセクションで扱っている論文のページ数を示す ※引用でない本文においては、保護する国はそのまま…

Tom Hillenbrand "Drohenland"(2015) Kiepenheuer&Witsch,  赤坂桃子訳 河出書房新社(2016)

「客観的に存在する知の素材が途方もない広がりを見せているために、あたかも密閉された容器のように中身のわからないまま流通するいろいろな表現を使うようになり、使わざるをえなくなった(1)」 この文章は引用から始まる。 そもそも引用とは何のためにある…

Blackwell Companion to Locke(2015) "Introduction" by Matthew Stuart 抄訳

はい。というわけで比較的新しい概説書(?)のintroの一部を訳してみました。 作品全体の簡単な紹介になっております。 前書き1著述家としてのジョン・ロックの経歴はあまりに偉大であるため、彼の過ごした豊富で、変転に富んだ人生については等閑視されている…

Joachim Ehlers”Otto Von Freising -Ein Intellektueller im Mittelalter-” 抄訳 すこし

出だし Prolog 人と時代嫉妬心で心がいっぱいになるような(Konkurrenzneid zerfressenen)中期中世の貴族社会にあって、司教オットー・フォン・フライシングは、決してそのような問題に遭遇しなかった。他の人が嫉妬をこめて仰ぎ見るものは、彼が血統ですでに…

Frederick Beiser”The German Historicist Tradition” intro 4 おわり

内容に同意するとは言っていない 括弧内は補足です。 以下の続きです kannektion.hatenablog.com Oxford university press Frederick Beiser”The German Historicist Tradition”(2015)(ハードカバーは2011) GHT 1-6歴史主義の危機? 1921年、エルンスト・ト…

F.Beiser “German Historicist Tradition” Introduction : The Concept and Context of Historicism 3

Graftonの"What was History" 面白かったです。 この著作とは方面が違いますが多少重なる議論もありました。 以下の続きです kannektion.hatenablog.com それでは始めます 注釈はぼくのオリジナルなのであてになりません 続きはこちら kannektion.hatenablog…

F.Beiser “German Historicist Tradition” Introduction : The Concept and Context of Historicism 全訳に近い内容把握 2

Beiser 序章ほぼ訳 続き 以下の続きです kannektion.hatenablog.com ※一部省略、意訳が入ります 注釈は私が個人的につけたものです 駆け足で訳したため文章が扁平になっています 続きはこちら kannektion.hatenablog.com 3 歴史主義と啓蒙(主義) 3-1 なぜ歴…

J. G. A. Pocock ”Barbarism and Religion” Volume Three pp. 165~170 内容把握

トスカナの歴史 エトルリアからフィレンツェへ (165.2) ブルーニは、トスカナの歴史を記述しているのだと述べ、彼の議論を続けていく。それは、彼が提唱するところによるとローマ帝国以前とその後の歴史である。その歴史は、トロイアよりも先の時代に(故に、…

F.Beiser “German Historicist Tradition” Introduction : The Concept and Context of Historicism 全訳に近い内容把握 途中まで 1

F.Beiser “German Historicist Tradition” Introduction : The Concept and Context of Historicism pp.1-10 まだ続きがあります。 kannektion.hatenablog.com 1 知的革命 1-1 “歴史主義の成立”のノスタルジックな前文において、マイネッケは、歴史主義が西…