Disce libens

研究にあまり関係しない雑記

学振研究員が授業料を全額払うよう命じられて死にそうになってる話

こういうブログの使い方をしたことはないですが、感情が収まらないので書きます。書いたら多少は冷静になることを期待してやってみます。 文章がグダグダなので言うまでもなくわかることでしょうが、冷静な分析などではなく、単なる悲鳴と思って見てもらえる…

R.W. Southern, "Medieval Humanism"、I,II,VII節

R.W. Southern, "Medieval Humanism"、I,II,VII節 冒頭と最後です。 「ヒューマニズム」という言葉には、より広く流布している、人間の知識、活動領域の拡大と結びついた意味と、もう一つ、学術的な領域で用いられる古典学的な、ギリシア、ローマの文物の研…

Cary j. Nederman, The Bonds of Humanity- Cicero’s Legacies in European Social and Political Thought, ca. 1100–ca. 1550, 第1章補遺

http://kannektion.hatenablog.com/entry/2020/06/14/220352 上の記事を補うものです。 中世ヨーロッパにおいて影響のあったキケロのテクストは、De innventione, De oratore, De republica, De legibus, Brutus, Paradoxa Stoicorum, Orator, De finibus, T…

コバルビアスと16世紀における人文主義、スコラ学(1)

Katherine Elliot van Liere, Humanism and Scholasticism in Sixteenth-Century Academe: Five Student Orations from the University of Salamanca, Renaissance Quarterly Vol. 53, No. 1 (Spring, 2000), pp. 57-107の本文の前半までです。 著者のLiere…

異端審問官じゃない方のトルケマダ

異端審問官の方のトルケマダについては日本語ウィキペディアにもあるのに枢機卿にして教会論で有名なトルケマダ(Juan de Torquemada)の説明はない(ちなみに異端審問官のトルケマダの叔父にあたるのであるが)。公会議の時代における彼の議論の意義について勉…

Cary j. Nederman, The Bonds of Humanity- Cicero’s Legacies in European Social and Political Thought, ca. 1100–ca. 1550, 序章と第1章

Cary j. Nederman, The Bonds of Humanity - Cicero’s Legacies in European Social and Political Thought, ca. 1100–ca. 1550, 序章と第1章 序章では、12-16世紀のキケロ主義への着目があまりに弱いことが、近年初期近代や古代という文脈でキケロを丁…

Harald Maihold, Strafe für fremde Schuld?, Böhlau Verlag, Köln, 2006, pp. 29-37

サブタイはDie Systematisierung des Strafbegriffs in der Spanischen Spätscholastik und Naturrechtslehreです。 1 公的な刑法の出現 「近代的」国家概念の形成は罪の原理の発展に寄与してきた。Gerd H. Wächterは彼の刑法研究において「主観的な責任原理…

Stephan Kuttner, "Notes on the Glossa ordinaria of Bernard of Parma", Bulletin of Medieval Canon Law, 11 (1981), pp. 86-93.

今後は頻繁に更新していきます。その代わり自分の再確認用のメモという性格が強いので読みにくいものになると思います。 リーベル・エクストラの標準注釈の歴史はまだ描き切れていない。グラティアヌスの標準注釈の研究状況の、シュルテの1872年のモノグ…

近世ヨーロッパにおける 外国人を保護する都市の責任についての議論(2)

以下のものの続きです。 kannektion.hatenablog.com 3.4 ソトのDeliberacion の概要 ソトは自身のDeliberacionの4,5章を都市から外部の貧民を排除していいのかという問いについての考察に当てている。外国人(exteros,extrangeros)とは主に別の都市から…

Antony Black, Political thought of Europe 1250-1450, イントロ 内容紹介

1250-1450にかけての政治理論は、多様な学問的伝統から成立したものだった。神学や法学、キケロやアリストテレスのテクストの伝統といったものが主要なバックグラウンドである。キリスト教というものはその時代均質的なものではなかった。地域階層の偏差が大…

近世ヨーロッパにおける 外国人を保護する都市の責任についての議論(1)

以下は、後期スコラ学の倫理理論を扱ったDaniel Schwartz,2019, The Political Morality of the Late Scholastics: Civic Life, War and Conscience の第3章、Keeping Out the Foreign Poor: The City as a Private Person pp. 58-78 の前半の紹介です。 Sch…

鴎外『ヰタ・セクスアリス』における性欲

以下に載っけたのは、東京大学性欲研究会誌第9号に寄稿したものである。 タイトルの通り、素材は鴎外の『ヰタ・セクスアリス』を扱っている。こっちに掲載していいと許可してくれた性欲研会長にはお礼申し上げます。会誌第8号は通販しているのでぜひ買ってく…

最初から最後まですべて読む気持ち, Pocock, Barbarism and Religion 1巻 intro

みんな大好きポーコックの時間です。 今までのポーコック関連エントリは以下の通りです。 kannektion.hatenablog.com kannektion.hatenablog.com kannektion.hatenablog.com kannektion.hatenablog.com ポーコックのBRはぐうたらしていた2年生のころから読ん…

イツァーク・ギルボア『不確実性下の意思決定理論』5章のメモ

国際フォーラムでの発表の準備にかかりっきりでしばらく手に余裕がなかったため、最後の更新から日が空いた。 それに加えて短い準備期間で多少無理をきかせたため体調を壊しているという事情がある。げんにまだ熱がある状態であるが、寝てばかりいるのもひま…

イツァーク・ギルボア『不確実性下の意思決定理論』1~4章のメモ

頭の整理にメモをとってみた。 数式は飛ばすか、自然言語での表現に置換するかしている。今回の範囲で出てきたものは理解できた。 1~5章が第一部なのでキリが悪い。各論に入る前の基礎づけの議論に該当する。 1 研究の動機付けとなる例 以下の四つは同様に格…

ベッケンフェルデ "倫理的国家としての国家" つづき

以下の記事の続きです。正直いうと彼の議論の妙味を適切に表現できた自信がありませんが、今回は特に迅速さを優先します。 kannektion.hatenablog.com III-2 b) 物質的自由と自己実現 外的自由と安全の次元と平行して、倫理的、知的自由や自己実現の領域が自…

Kinch Hoekstra, "Hobbes`s Thucydides"(2016)とかのまとめ

表題の論考の紹介になります。これは某カタバシスなんかで紹介されているので蛇足感もありますが、自分なりに読んで理解することも大切なのでいいとします。そのうちトゥキディデスのハンドブックにのってるほうの論考も紹介します。当該論考は思想史研究で…

ベッケンフェルデ "倫理的国家としての国家"

ベッケンフェルデ(1930-2019)が亡くなってしまった。ちょうど古代、中世の法・政治思想についての著作(Geschichte Der Rechts- Und Staatsphilosophie: Antike Und Mittelalter)を読み返していたので衝撃が大きい。彼の研究は今の自分が学んでいる方向性を決…

マルカムとタックのホッブズ研究

Malcolm2002[1]の刊行時点では、彼自身が指摘するように[2]ホッブズの国際関係理論に関する研究は、ホッブズ研究者自身によるものは非常に薄く、国際政治学者が自身の議論を補強するために例示したホッブズ理解が多少影響力を有していた。それは、リヴァイア…

古代ローマにおける宗教 2

前回の続きです Schiavoneの6、 Rituals and Prescription の紹介です 後期共和制においては、古い神官の持っている知恵とはまず第一に慣習mosの擁護者としての役割を担う者とされていた。それは先祖代々続く宗教的社会的慣習を体現していた。 注1 初期のロ…

初期ローマにおける宗教

スキアボーネの The Invention of Law in the West (Ius. L'invenzione del diritto in Occidenteの英訳)の第5章の紹介です(ちなみにスペイン語訳のほうが先に出ている)。全体の半分くらいは読みましたが、その中でも特に未知の事項がおおく、理解しづらかっ…

アンソニー・グラフトン "人文主義と政治理論" 内容まとめ

A.Grafton "Humanism and Political theory "in The Cambridge History of Political Thought 1450-1700 の内容紹介です。 二時間くらいで打ったのでパンクチュエーションがひどいですが許してください。 p9-10i Scholarship and power リプシウスのルーヴァ…

C. Horn Antike Lebenskunst 訳出 ほんのすこし

Horn Antike Lebenskunst SVF→ Stoicorum Veterum Fragmenta fin→ M. Tullius Cicero, de Finibus Bonorum et Malorum Prot→ Protagoras 1.3 Die philosophischen Schulen und das Idealbild des Philosophen (49.2) 古代において、現代の公的支出に支えられ…

2016年度 近代日本法史 パテルノストロについての報告レジュメ

以下のものは学部の時のゼミのために作った資料です。その場でとある資料を読み解くための補足として作ったのでこれだけでどのくらいインフォマティヴなのかはわかりません。口頭で補うことを想定しています。 じゃあ載せるなよという話ですが、自分は書いた…

Pocock, Barbarism and Religion: Volume 6, Barbarism: Triumph in the West(2016) 15 Ambrose of Milan p.293-308

Pocock BR6 15章 Ambrose of Milan 半ば趣味の営みだが、ビトリアの教会論と聖職者の世俗の権限を巡る議論を読むのにも示唆的であった。ただ、BRの中でもギボン自身の評価とポーコックのコメントが入り組んだ箇所なので筋を綺麗に追跡するのに苦労する箇所で…

Maurizio Viroli, From Politics to Reason of State: The Acquisition and Transformation of the Language of Politics: 1200–1600(1992) p.1-15 内容紹介

とてもキリが悪いところで終わっています。p. 30が一つの切れ目なのでここがちょうど半分くらい。残り半分を近日のうちに載せます。 追記 残り半分を当日中に全部訳しましたが、間違って削除して意気消沈してるので15-30はもう載せません。ごめんなさい 注意…

Benjamin Straumann (2016) Crisis and Constitutionalism(危機における政体論)intro pp. 1-21 紹介

constitutionは、政体 constitutionalは、政体論的という訳語を機軸とします。constitutionalに端的に肯定的な意味が着せられているような場合は少し技巧的に訳しています(よく秩序づけられた政体など)。 pocockをBR参照せずにMMだけで古典的共和主義者に括…

Dante de vulgari eloquentia がつらい(1)(多分続かない)

以下に訳出したのはダンテのDe Vulgari Eloquentiaの冒頭である。この本は第一書、第二書に分かれている。言語論、レトリック論には個人的興味が強いので意気込んでいたが、途中でタキトゥスのコメンタリやローブ版のクィンティリアヌスを購入したせいで目移…

スコトゥスについてざっくりと (2)(中断)

中途半端なのですが、今回でいったん中断します。スコトゥスの実際の議論の理解をもう少ししたいという気持ちが生まれたためです。 スコトゥスの価格理論とビトリアの関係についてきちんとテクスト自体と研究動向を追ってみることにします。なにかわかってき…

スコトゥスについてざっくりと (1)

せっかく自由に投稿できるのだから気楽に文字を投げていこうと思う。前回から一週間経ってないが更新をする。 Flaschの中世哲学史の紹介という形でドゥンス・スコトゥスについて何度かに分けて確認していく。そうは言っても息抜きでやっているので、次回の更…